2008.07.30 (Wed)
ショートヘアと色気
yahoo動画でレゲエ・ディージェイ、卍LINE^^;のビデオクリップを観ました。
例のあれ以来、復帰後、映画出演は果たしたものの、メディアでは見かけなくなって久しいので純粋にうれしいです。
彼の演技はとても好きでした。
残念だなって思ってましたが、まさかこんな形で現れるとはっ!
レゲエは大好き。
いまの流行りのは知らないけど、良い曲は何年たってもいいものです。
走る時にテンション上げてくれる三木道三。
シャギーの夏の定番サマータイムに、脱力感漂うボンバスティック笑
ボブ・マーリーのようなオーソドックスなものよりは、アップテンポのノれる曲の方が好きなので、けっこう好みでした。
私は音楽全般、一度聞いただけではあまり入ってこない人間なので、何度か聞いたらすごく好きになるかもしれません。
エキセントリックな彼にはミュージシャンの方が生きやすいのかな、と思いました。
そして本日の一枚です。
短髪の女の人を描いてみました。
あんまり需要はなさそうですが、個人的には好きなタイプです。
短髪女性=ボーイッシュってイメージがありますけど、エロではない色気が描きたかった。
少しはそんな風に見えるでしょうか^^;

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今日はめちゃくちゃ暑くてアイス2本も食べちゃいました〜
でも食欲はないんですよね…しかしこの暑さに負けないツワモノもいます。
母「肉食いたい、ステーキw」
えーと…みなさんも夏バテには肉食いましょうw
例のあれ以来、復帰後、映画出演は果たしたものの、メディアでは見かけなくなって久しいので純粋にうれしいです。
彼の演技はとても好きでした。
残念だなって思ってましたが、まさかこんな形で現れるとはっ!
レゲエは大好き。
いまの流行りのは知らないけど、良い曲は何年たってもいいものです。
走る時にテンション上げてくれる三木道三。
シャギーの夏の定番サマータイムに、脱力感漂うボンバスティック笑
ボブ・マーリーのようなオーソドックスなものよりは、アップテンポのノれる曲の方が好きなので、けっこう好みでした。
私は音楽全般、一度聞いただけではあまり入ってこない人間なので、何度か聞いたらすごく好きになるかもしれません。
エキセントリックな彼にはミュージシャンの方が生きやすいのかな、と思いました。
そして本日の一枚です。
短髪の女の人を描いてみました。
あんまり需要はなさそうですが、個人的には好きなタイプです。
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少しはそんな風に見えるでしょうか^^;

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でも食欲はないんですよね…しかしこの暑さに負けないツワモノもいます。
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えーと…みなさんも夏バテには肉食いましょうw
2008.07.27 (Sun)
セーラー服
あるブログさんで興味深い記事が載ってたので私も便乗させて頂きました。
みなさんもう既にやってらっしゃるかもしれませんが、自ブログの影響度や特徴を評価するといったお遊びです。
実験サービスサイト「gooラボ」 ブログ通信簿

ブログのURLを入力するだけなので簡単でした。
でも11歳って年齢はちょっと微妙です^^;
ウチのブログはそんなに幼いのか…
最新記事10件のデータを元にしてるので、新しい記事を更新してまたやると、結果が異なるみたいです。
気軽に楽しめますのでまだやってない方はどうぞ^^
そして本日の一枚です。
いつも大体そうなんですが、どんな絵にするか思いつかなくって、結局出来たのがこれでした。
通学途中の女子学生。ベタな設定です笑
でもセーラー服を描くのは楽しいですね。
センスゼロのババくさいバックはご愛敬w

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コメント&ランキングポチいつもありがとうございますww
北の大地でも十分暑いです。
みなさん体調を壊されないように気をつけて下さいね。
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でも11歳って年齢はちょっと微妙です^^;
ウチのブログはそんなに幼いのか…
最新記事10件のデータを元にしてるので、新しい記事を更新してまたやると、結果が異なるみたいです。
気軽に楽しめますのでまだやってない方はどうぞ^^
そして本日の一枚です。
いつも大体そうなんですが、どんな絵にするか思いつかなくって、結局出来たのがこれでした。
通学途中の女子学生。ベタな設定です笑
でもセーラー服を描くのは楽しいですね。
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北の大地でも十分暑いです。
みなさん体調を壊されないように気をつけて下さいね。
2008.07.26 (Sat)
K&C 鷹と鷲 1
「ひえ〜、マジかよ………」
自分の頭上、遥か上にそびえる城門を目の辺りにして、思わず「たのも〜」などどつぶやいてしまったのは、冗談にでも紛らしてしまわなければ、あまりの規格外にいすくんで回れ右してしまいそうになる、己を奮い立たせるためだった。
しばし呆然と佇んだ後、さて、この後どうすれば門の中に入れてもらえるだろうかと思案していたところに、翔太でも知ってる有名なドイツの高級車が門の中から悠然と現れ、それに合わせるように自動で開門した。
邪魔にならないようにあわてて移動した翔太のそばで、高級車は静かに停車し、運転席から壮年を過ぎたあたりの紳士が降りてきた。
うろたえる翔太に紳士は上品に微笑んで、美しいクイーンズイングリッシュで話しかけた。
「タカモリ様でございますね。わたくしは当家の執事を務めさせて頂いておりますハンスと申します。遠路遥々ようこそおいで下さいました。お疲れでございましょう。徒歩ではお辛いでしょうから車にお乗り下さいませ。お荷物はこれだけですか?」
ハンスが翔太のくたびれたカート付のバックを積み込んでくれようとしたので、あわてて翔太は自分の方に引き寄せた。
翔太としては目上で、しかも見るからに立派そうな紳士に、自分の荷物を持たせるわけには断じていけなかった。
「あっ、あのっ、すみませんっ!自分で積みますから…」
しどろもどろになりながら翔太はハンスを窺い見ると、ハンスはニコッと笑って翔太の好きにさせてくれた。
車に乗り込んだ翔太はというと、自分がいまとてつもなく場違いなところにいることを自覚しているので、かなり居心地が悪かった。
「つうか、執事ってなんだよ。マジありえねぇ…」
「何か仰いましたか?」
「いっいえ、何でもないですっ!」
運転しているハンスがバックミラー越しに後部座席に座っている翔太に問いかけたが、翔太はひきつり笑いで返すしかなかった。
(あぶねぇ、この人結構地獄耳だよ。日本語だから意味わかんねえと思うけど、独り言には気いつけよ…)
「もうすぐでございますから。主人もタカモリ様にお会いするのを大変楽しみにしておりますよ」
優秀な執事は時には多少の嘘も散りばめて、客人が快く寛げる居心地のいい空間を演出するものだ。
だが主人と言う言葉に、翔太はこれから会う人との対面を思い浮かべて、一気に体温が上昇した。
そして10分弱のドライブの後、翔太を乗せた車は主人が待つという居城に止まった。
城の名前はローゼンブルク。
ドライブ中にも次第に全容が見えてくる、美しく華麗にして荘厳な白亜の城は、翔太の度肝を抜くには十分であった。
この城の特徴は、チロル大公フェルディナンド2世が、妃フィリッピーネのために11世紀の城をルネッサンス様式に改築、拡張したものであるが、白壁に映える窓を彩る赤い縁取りが一際美しい。
また、春が来て暖かくなれば、庭園内の緑一面の芝生と、この城の由来でもある様々な種類のバラの花園は見事である。
車から降り立った翔太が見上げる先には、先ほどの城門を上回るレベルの豪華な城が建っていた。
翔太は口をあんぐりと開けたまま、冒頭のセリフをつぶやくことになる。
「ひえ〜、マジかよ………」
これには恐れ入るしかない。
ハンスに促されて、エントランスホールを通り抜ける間も、煌びやかな調度類や意匠を凝らした柱のレリーフなど、すべてが庶民の感覚では計り知れない豪華さだった。
ザルツブルグのマリアに前もって教えてもらったものの、ここへ来るまで半信半疑だった。
(普通、コーチや振り付け師が城に住んでるか?)
マリアの指導を断られて悲嘆にくれた翔太に、彼女は自分の弟子を紹介してやると言った。
『インスブルックに着いたら、ローゼンブルクって言えば知らぬものはいないはずだからね』
確かにすぐにわかった。
城の外観は観光コースにもなっているのでシャトルバスが便利だった。
マリアの弟子がどのような人物なのか翔太は一切知らなかったが、ここまで来て空手で日本に帰る訳にはいかなかった。
マリアの自宅を辞すると、翔太はその足で一端ザルツブルグ市内に戻り、ホテルのチェックアウトを済ませてインスブルック行きの特急電車に乗り込んだ。
チロルの州都インスブルックは、山々に囲まれた歴史的な建造物が立ち並ぶ美しい街だった。
中央の平階段を上り、左右に分かれる階段の一方をさらに上って回廊を回った先でようやくハンスは立ち止まり、重厚な造りの両開きの扉をノックした。
「旦那様、タカモリ様をお連れしました」
「ああ、ご苦労だった。中へ入ってもらってくれ」
耳に心地良い響きの、よく通る声がドアの向こうから聞こえてきた。
ハンスが扉を開けて中へ入るように翔太を促す。
室内はブラケットやペンダントライトが吊り下げられており、薄明りの中でも映える猫足の家具類はみごとであった。
正面に見える大窓には深い赤に金糸の模様のカーテンがかかっている。
この城の造りはルネッサンス様式であるが、城内の調度品の多くはバロック様式のものである。
だが相反する理想を掲げた様式が混在しつつも、不思議と調和がとれている。
「では私はこれで失礼致します」
思わず振り返って助けを求めたが、微笑みを浮かべた執事はすげなく自分の仕事に戻って行った。
室内はかなり広かったが続きの部屋に向かう一角を残して、床から天井まで書棚がはめ込まれていた。
書斎と呼ぶよりは図書室と呼ぶ方が相応しいかもしれない。
翔太の手前にアンティークな応接セットがあり、その向こうに、窓を背にしてこちらも年代物らしい書斎デスクが置かれている。
その書斎デスクの上で読物をしていたらしい人物が、本を閉じて読書用にかけていた眼鏡を外すと、翔太の方に視線を移した。
ブルーグレーの瞳が翔太を捕らえる。
そして冷淡にも聞こえる声の調子で翔太に宣言した。
「言っておくが私はマリアほど気の長い性格ではなくてね。君の技術が私の予想を下回った場合は、即刻、日本へ強制送還してやる」
いまだかつて翔太は、これほど美しくて、これほど冷たそうな人物に会ったことはなかった。
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自分の頭上、遥か上にそびえる城門を目の辺りにして、思わず「たのも〜」などどつぶやいてしまったのは、冗談にでも紛らしてしまわなければ、あまりの規格外にいすくんで回れ右してしまいそうになる、己を奮い立たせるためだった。
しばし呆然と佇んだ後、さて、この後どうすれば門の中に入れてもらえるだろうかと思案していたところに、翔太でも知ってる有名なドイツの高級車が門の中から悠然と現れ、それに合わせるように自動で開門した。
邪魔にならないようにあわてて移動した翔太のそばで、高級車は静かに停車し、運転席から壮年を過ぎたあたりの紳士が降りてきた。
うろたえる翔太に紳士は上品に微笑んで、美しいクイーンズイングリッシュで話しかけた。
「タカモリ様でございますね。わたくしは当家の執事を務めさせて頂いておりますハンスと申します。遠路遥々ようこそおいで下さいました。お疲れでございましょう。徒歩ではお辛いでしょうから車にお乗り下さいませ。お荷物はこれだけですか?」
ハンスが翔太のくたびれたカート付のバックを積み込んでくれようとしたので、あわてて翔太は自分の方に引き寄せた。
翔太としては目上で、しかも見るからに立派そうな紳士に、自分の荷物を持たせるわけには断じていけなかった。
「あっ、あのっ、すみませんっ!自分で積みますから…」
しどろもどろになりながら翔太はハンスを窺い見ると、ハンスはニコッと笑って翔太の好きにさせてくれた。
車に乗り込んだ翔太はというと、自分がいまとてつもなく場違いなところにいることを自覚しているので、かなり居心地が悪かった。
「つうか、執事ってなんだよ。マジありえねぇ…」
「何か仰いましたか?」
「いっいえ、何でもないですっ!」
運転しているハンスがバックミラー越しに後部座席に座っている翔太に問いかけたが、翔太はひきつり笑いで返すしかなかった。
(あぶねぇ、この人結構地獄耳だよ。日本語だから意味わかんねえと思うけど、独り言には気いつけよ…)
「もうすぐでございますから。主人もタカモリ様にお会いするのを大変楽しみにしておりますよ」
優秀な執事は時には多少の嘘も散りばめて、客人が快く寛げる居心地のいい空間を演出するものだ。
だが主人と言う言葉に、翔太はこれから会う人との対面を思い浮かべて、一気に体温が上昇した。
そして10分弱のドライブの後、翔太を乗せた車は主人が待つという居城に止まった。
城の名前はローゼンブルク。
ドライブ中にも次第に全容が見えてくる、美しく華麗にして荘厳な白亜の城は、翔太の度肝を抜くには十分であった。
この城の特徴は、チロル大公フェルディナンド2世が、妃フィリッピーネのために11世紀の城をルネッサンス様式に改築、拡張したものであるが、白壁に映える窓を彩る赤い縁取りが一際美しい。
また、春が来て暖かくなれば、庭園内の緑一面の芝生と、この城の由来でもある様々な種類のバラの花園は見事である。
車から降り立った翔太が見上げる先には、先ほどの城門を上回るレベルの豪華な城が建っていた。
翔太は口をあんぐりと開けたまま、冒頭のセリフをつぶやくことになる。
「ひえ〜、マジかよ………」
これには恐れ入るしかない。
ハンスに促されて、エントランスホールを通り抜ける間も、煌びやかな調度類や意匠を凝らした柱のレリーフなど、すべてが庶民の感覚では計り知れない豪華さだった。
ザルツブルグのマリアに前もって教えてもらったものの、ここへ来るまで半信半疑だった。
(普通、コーチや振り付け師が城に住んでるか?)
マリアの指導を断られて悲嘆にくれた翔太に、彼女は自分の弟子を紹介してやると言った。
『インスブルックに着いたら、ローゼンブルクって言えば知らぬものはいないはずだからね』
確かにすぐにわかった。
城の外観は観光コースにもなっているのでシャトルバスが便利だった。
マリアの弟子がどのような人物なのか翔太は一切知らなかったが、ここまで来て空手で日本に帰る訳にはいかなかった。
マリアの自宅を辞すると、翔太はその足で一端ザルツブルグ市内に戻り、ホテルのチェックアウトを済ませてインスブルック行きの特急電車に乗り込んだ。
チロルの州都インスブルックは、山々に囲まれた歴史的な建造物が立ち並ぶ美しい街だった。
中央の平階段を上り、左右に分かれる階段の一方をさらに上って回廊を回った先でようやくハンスは立ち止まり、重厚な造りの両開きの扉をノックした。
「旦那様、タカモリ様をお連れしました」
「ああ、ご苦労だった。中へ入ってもらってくれ」
耳に心地良い響きの、よく通る声がドアの向こうから聞こえてきた。
ハンスが扉を開けて中へ入るように翔太を促す。
室内はブラケットやペンダントライトが吊り下げられており、薄明りの中でも映える猫足の家具類はみごとであった。
正面に見える大窓には深い赤に金糸の模様のカーテンがかかっている。
この城の造りはルネッサンス様式であるが、城内の調度品の多くはバロック様式のものである。
だが相反する理想を掲げた様式が混在しつつも、不思議と調和がとれている。
「では私はこれで失礼致します」
思わず振り返って助けを求めたが、微笑みを浮かべた執事はすげなく自分の仕事に戻って行った。
室内はかなり広かったが続きの部屋に向かう一角を残して、床から天井まで書棚がはめ込まれていた。
書斎と呼ぶよりは図書室と呼ぶ方が相応しいかもしれない。
翔太の手前にアンティークな応接セットがあり、その向こうに、窓を背にしてこちらも年代物らしい書斎デスクが置かれている。
その書斎デスクの上で読物をしていたらしい人物が、本を閉じて読書用にかけていた眼鏡を外すと、翔太の方に視線を移した。
ブルーグレーの瞳が翔太を捕らえる。
そして冷淡にも聞こえる声の調子で翔太に宣言した。
「言っておくが私はマリアほど気の長い性格ではなくてね。君の技術が私の予想を下回った場合は、即刻、日本へ強制送還してやる」
いまだかつて翔太は、これほど美しくて、これほど冷たそうな人物に会ったことはなかった。
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2008.07.23 (Wed)
K&C 双頭の鷲の主(あるじ) 4
はじめに電話口に出たのはアレクサンダーの天敵バルバラであった。
そのため彼の口調は意図しないままに冷たくかたくなってしまう。
たぶんそんな彼の口調に、自分のことを快く思っていないことを感じているバルバラも、相手がアレクサンダーだとわかると途端に刺々しくなった。
『あらアレク、お久しぶりね』
『ああ、すまないがマリアに代わってくれ』
『ごあいさつねっ』
言うやいなや保留音に切り替わり、少し待つと受話器の向こうから懐かしい声が聞こえてきた。
『元気だったかい?バルバラが近所のノラ猫みたいに毛を逆立ててるけど、またあんた達喧嘩でもしたのかい?』
並んで立つとアレクサンダーとバルバラは巨匠の手になる一幅の絵のように美しい。
色素の薄い白い肌もプラチナブロンドも、まるで年の離れた兄妹のように似通っている。
マリアは以前、寄ると触ると険悪な雰囲気を醸し出してしまう二人に辟易して、素晴らしい偶然の一致を見つけたとばかりに指摘したことがあった。
だがこれはあきらかな失敗だった。
二人共に苦虫を噛み潰したような顔をしたのは言うまでもない。
『…あいにく喧嘩にもなりません。それよりお話を伺いましょう』
しばらくぶりで会話した弟子は以前のままに事務的に用件を促した。
情緒や余韻と言ったものがまるでない。
無愛想でそっけない態度にマリアは一つため息をつくと本題に入った。
実はアレクサンダー自身もけして心中穏やかではなかった。
敬愛する師との久しぶりの会話に内心動揺していた。
彼には思いがある。
この一年間拗ねて師匠の紹介を断り続けてきたことを謝り、和解しなくてはいけない。
電話口のマリアの様子からは、彼女がアレクサンダーに対して、何か含むところがあるようには窺えないのだが。
そのためにもまず師の要件とやらを聞いてからだと思っていた。
だがマリアの話はアレクサンダーの出鼻を見事にくじいた。
マリアの代わりに日本人の選手を教えてやってほしいと言うのだ。
仕事の依頼を断り続けてきたことへの謝罪を伝えようとしていた矢先に、またもマリアからの依頼である。
思わぬ展開にアレクサンダーはしばしの間、返す言葉を失ってしまった。
もはや見放されたと思っていたのに、あれだけ断り続けた自分に、またもコーチの職を紹介するというのか?
マリアは一体何を考えているのだろう。もしやこれは師匠の嫌がらせだろうか?
後ろめたい気持ちを隠し持ってるアレクサンダーは失礼にも勘ぐった。
(問題のある厄介な選手を私に押し付ける算段か?)
だがマリアの次の言葉で、彼は己を恥じることになる。
『男子シングルの選手でね、とってもまっすぐな眼をした、気持ちのいい子なんだよ。本当なら私が面倒見てやりたいんだけど、そうもいかないしね。その子の滑りをネットで調べて観てみたけど、かなりいいものを持っている。このままにしちゃあ惜しい素質だ。何てったって一番いいのが本人にその気が十分にあるってことだ。だからあんたに、あたしの代わりにその子を育てて欲しいと思ったんだよ』
一番信頼のおける弟子のアレクサンダーに、師匠は出来ることなら自分が育てたいとまで思った選手を託そうというのだ。
胸に沁みいる温かい思い。
はじめからマリアは少しもアレクサンダーに含むところなどなかったのだ。
それどころか彼の幼さを許し、何度でも救いの手を差しのべてくれる。
マリアの意を汲んだアレクサンダーは、もはや彼女の頼みを断る言葉を思いつけなかった。
それとともに…
日本人。
それを聞いた瞬間、奇妙な感慨が芽生えた。
アレクサンダーは日本と言う国に不思議な繋がりを感じる。
彼の競技人生上、最初で最後のオリンピック出場を果たしたのが、日本で開催された長野オリンピックだった。
また、彼がスケートをはじめて何年か過ぎた頃、彗星のごとく登場した祖国オーストリアの誇り、ヨウコ・クリスティーネ・グルダの演技に魅了されて、自分もまたオリンピック選手になることを目指したのだ。
彼女は日本人とのハーフだった。
オーストリアからは遠く離れた、まったく接点のないはずの東の果ての国。
偶然も度重なると薄ら寒いものを感じてしまう。
自分は何者かの手のひらの上で踊らされているのではないかと、少し不愉快な気分に陥った。
『たぶん今日中にはあんたのとこに着くと思うから、よろしく頼むよ』
『は!?』
『なんだい、聞いてなかったのかい』
電話越しにマリアがあきれたように、やれやれと首を振っている図が想像できる。
いや、そんなことはどうでもいい。
ついうっかりと物思いに浸ってしまったらしい。
アレクサンダーは聞き捨てならない懸案事項を確認する。
『失礼、その少年が今日、私のところに来ると、そう、仰いましたか?』
『ああ、その通りだよ』
(…なんてことだ)
アレクサンダーは軽くめまいがした。
『マリア、私はいま初めてその話を伺ったのですが…』
遠回しに皮肉を言ったがマリアには伝わらなかった。
もしくは弟子の皮肉など歯牙にもかけなかった。
『ああ、あたしも日本のインストラクター協会から直前に連絡をもらった後、すぐさま本人がやって来たもんだから、そりゃあびっくりしたよ。しかし健気な話じゃないか。単身でコーチを乞いに乗り込んでくるなんざ、さすがサムライを生み出した国だよ』
マリアはそう言って豪快に笑い出した。
(なにがサムライだ、はた迷惑もいいところだ!)
アレクサンダーは忌々しげに心の中でつぶやいた。
さきほど師の思いやりに感銘を受けた自分が腹立たしい。
今までの非礼を詫びようと思っていた気持ちもすっかり失せてしまった。
師匠に比べれば自分はまだまだ未熟である。
痺れを切らしたマリアの強硬手段にまんまとはめられてしまったのだから。
今まさに自分のもとにやってくる少年を追い返すことは難しい。
アレクサンダーはついに観念した。
だが同時に逃げ道を確保することも忘れなかった。
『わかりました。とりあえずその少年は当家で預からせてもらいます。ですが私が彼のスケート技術に満足するとは限りませんよ。その場合は即刻、日本へ送り返しますからそのおつもりで』
『ああ、結構だよ』
マリアは自信満々で承諾した。
マリアのその自信の根拠が気になったが、とりあえずは溜飲を下げた。
『で、その少年の名は何と言いましたか?』
『ショータ・タカモリ。トリノにも出場した日本のチャンピオンだ。だが一度の失敗から彼は世間から忘れ去られようとしている』
マリアとの電話を切ってすぐ、アレクサンダーは携帯を取り出してハンスを呼び出し用件を伝えた。
『客室の用意をしてくれ。…メイド部屋でいい、と言いたいところだがマリアからの預かりものだ。ああ、そのように。苦労をかけるがよろしくたのむ』
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そのため彼の口調は意図しないままに冷たくかたくなってしまう。
たぶんそんな彼の口調に、自分のことを快く思っていないことを感じているバルバラも、相手がアレクサンダーだとわかると途端に刺々しくなった。
『あらアレク、お久しぶりね』
『ああ、すまないがマリアに代わってくれ』
『ごあいさつねっ』
言うやいなや保留音に切り替わり、少し待つと受話器の向こうから懐かしい声が聞こえてきた。
『元気だったかい?バルバラが近所のノラ猫みたいに毛を逆立ててるけど、またあんた達喧嘩でもしたのかい?』
並んで立つとアレクサンダーとバルバラは巨匠の手になる一幅の絵のように美しい。
色素の薄い白い肌もプラチナブロンドも、まるで年の離れた兄妹のように似通っている。
マリアは以前、寄ると触ると険悪な雰囲気を醸し出してしまう二人に辟易して、素晴らしい偶然の一致を見つけたとばかりに指摘したことがあった。
だがこれはあきらかな失敗だった。
二人共に苦虫を噛み潰したような顔をしたのは言うまでもない。
『…あいにく喧嘩にもなりません。それよりお話を伺いましょう』
しばらくぶりで会話した弟子は以前のままに事務的に用件を促した。
情緒や余韻と言ったものがまるでない。
無愛想でそっけない態度にマリアは一つため息をつくと本題に入った。
実はアレクサンダー自身もけして心中穏やかではなかった。
敬愛する師との久しぶりの会話に内心動揺していた。
彼には思いがある。
この一年間拗ねて師匠の紹介を断り続けてきたことを謝り、和解しなくてはいけない。
電話口のマリアの様子からは、彼女がアレクサンダーに対して、何か含むところがあるようには窺えないのだが。
そのためにもまず師の要件とやらを聞いてからだと思っていた。
だがマリアの話はアレクサンダーの出鼻を見事にくじいた。
マリアの代わりに日本人の選手を教えてやってほしいと言うのだ。
仕事の依頼を断り続けてきたことへの謝罪を伝えようとしていた矢先に、またもマリアからの依頼である。
思わぬ展開にアレクサンダーはしばしの間、返す言葉を失ってしまった。
もはや見放されたと思っていたのに、あれだけ断り続けた自分に、またもコーチの職を紹介するというのか?
マリアは一体何を考えているのだろう。もしやこれは師匠の嫌がらせだろうか?
後ろめたい気持ちを隠し持ってるアレクサンダーは失礼にも勘ぐった。
(問題のある厄介な選手を私に押し付ける算段か?)
だがマリアの次の言葉で、彼は己を恥じることになる。
『男子シングルの選手でね、とってもまっすぐな眼をした、気持ちのいい子なんだよ。本当なら私が面倒見てやりたいんだけど、そうもいかないしね。その子の滑りをネットで調べて観てみたけど、かなりいいものを持っている。このままにしちゃあ惜しい素質だ。何てったって一番いいのが本人にその気が十分にあるってことだ。だからあんたに、あたしの代わりにその子を育てて欲しいと思ったんだよ』
一番信頼のおける弟子のアレクサンダーに、師匠は出来ることなら自分が育てたいとまで思った選手を託そうというのだ。
胸に沁みいる温かい思い。
はじめからマリアは少しもアレクサンダーに含むところなどなかったのだ。
それどころか彼の幼さを許し、何度でも救いの手を差しのべてくれる。
マリアの意を汲んだアレクサンダーは、もはや彼女の頼みを断る言葉を思いつけなかった。
それとともに…
日本人。
それを聞いた瞬間、奇妙な感慨が芽生えた。
アレクサンダーは日本と言う国に不思議な繋がりを感じる。
彼の競技人生上、最初で最後のオリンピック出場を果たしたのが、日本で開催された長野オリンピックだった。
また、彼がスケートをはじめて何年か過ぎた頃、彗星のごとく登場した祖国オーストリアの誇り、ヨウコ・クリスティーネ・グルダの演技に魅了されて、自分もまたオリンピック選手になることを目指したのだ。
彼女は日本人とのハーフだった。
オーストリアからは遠く離れた、まったく接点のないはずの東の果ての国。
偶然も度重なると薄ら寒いものを感じてしまう。
自分は何者かの手のひらの上で踊らされているのではないかと、少し不愉快な気分に陥った。
『たぶん今日中にはあんたのとこに着くと思うから、よろしく頼むよ』
『は!?』
『なんだい、聞いてなかったのかい』
電話越しにマリアがあきれたように、やれやれと首を振っている図が想像できる。
いや、そんなことはどうでもいい。
ついうっかりと物思いに浸ってしまったらしい。
アレクサンダーは聞き捨てならない懸案事項を確認する。
『失礼、その少年が今日、私のところに来ると、そう、仰いましたか?』
『ああ、その通りだよ』
(…なんてことだ)
アレクサンダーは軽くめまいがした。
『マリア、私はいま初めてその話を伺ったのですが…』
遠回しに皮肉を言ったがマリアには伝わらなかった。
もしくは弟子の皮肉など歯牙にもかけなかった。
『ああ、あたしも日本のインストラクター協会から直前に連絡をもらった後、すぐさま本人がやって来たもんだから、そりゃあびっくりしたよ。しかし健気な話じゃないか。単身でコーチを乞いに乗り込んでくるなんざ、さすがサムライを生み出した国だよ』
マリアはそう言って豪快に笑い出した。
(なにがサムライだ、はた迷惑もいいところだ!)
アレクサンダーは忌々しげに心の中でつぶやいた。
さきほど師の思いやりに感銘を受けた自分が腹立たしい。
今までの非礼を詫びようと思っていた気持ちもすっかり失せてしまった。
師匠に比べれば自分はまだまだ未熟である。
痺れを切らしたマリアの強硬手段にまんまとはめられてしまったのだから。
今まさに自分のもとにやってくる少年を追い返すことは難しい。
アレクサンダーはついに観念した。
だが同時に逃げ道を確保することも忘れなかった。
『わかりました。とりあえずその少年は当家で預からせてもらいます。ですが私が彼のスケート技術に満足するとは限りませんよ。その場合は即刻、日本へ送り返しますからそのおつもりで』
『ああ、結構だよ』
マリアは自信満々で承諾した。
マリアのその自信の根拠が気になったが、とりあえずは溜飲を下げた。
『で、その少年の名は何と言いましたか?』
『ショータ・タカモリ。トリノにも出場した日本のチャンピオンだ。だが一度の失敗から彼は世間から忘れ去られようとしている』
マリアとの電話を切ってすぐ、アレクサンダーは携帯を取り出してハンスを呼び出し用件を伝えた。
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2008.07.21 (Mon)
ヒミツだよ
2008.07.21 (Mon)
バトン
2008.07.19 (Sat)
水着
すっかりナメてたけど、今日はちょっとヤツを見直しました。
ヤツって言っても人間じゃありません。
レタッチソフト、photoshopのことです。
厳密にはお絵描きのためのソフトじゃないので、使いにくくてもしょうがないんですけどね。
ペンタブで直描きする時に、100%表示にしないと主線が波打つのは、私だけじゃないですよね…
最近ではそういうもんだとあきらめて使ってます。
今回の絵、ほんとはもっと頭デカかったんです^^;
直したいな〜><でもレイヤー分かれちゃってるし…統合するのはもったいない。
そこで思い出したのはアクション機能。
すっかり使い方忘れちまってたよ。
ヘルプで使い方を調べて、やってみたらすっごい便利でした。
レイヤーごとに登録したアクションを実行して、後は髪の毛の切れ目をちょっと修正するだけで済みました。
私ってばphotoshopの機能の10%も使いこなせてません。
これからちょっとずつでも覚えてかなきゃソンですよね。
その本日の一枚です^^
じゃ〜ん!苺ちゃんの水着姿、初披露でございます笑
やめたほうがよかったかな、夏なんで一度はやっとこうかと。
露出度が高いとバランスの悪さが際立ちますね^^;
さらに背景やっつけです。ええ、力尽きましたorz
最後に苺ちゃんからお願いがあるそうです。
「恥ずかしいからあんまりジロジロ見ないでね♪」

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絵も小説もがんばります、だって好きなことだから^^
ヤツって言っても人間じゃありません。
レタッチソフト、photoshopのことです。
厳密にはお絵描きのためのソフトじゃないので、使いにくくてもしょうがないんですけどね。
ペンタブで直描きする時に、100%表示にしないと主線が波打つのは、私だけじゃないですよね…
最近ではそういうもんだとあきらめて使ってます。
今回の絵、ほんとはもっと頭デカかったんです^^;
直したいな〜><でもレイヤー分かれちゃってるし…統合するのはもったいない。
そこで思い出したのはアクション機能。
すっかり使い方忘れちまってたよ。
ヘルプで使い方を調べて、やってみたらすっごい便利でした。
レイヤーごとに登録したアクションを実行して、後は髪の毛の切れ目をちょっと修正するだけで済みました。
私ってばphotoshopの機能の10%も使いこなせてません。
これからちょっとずつでも覚えてかなきゃソンですよね。
その本日の一枚です^^
じゃ〜ん!苺ちゃんの水着姿、初披露でございます笑
やめたほうがよかったかな、夏なんで一度はやっとこうかと。
露出度が高いとバランスの悪さが際立ちますね^^;
さらに背景やっつけです。ええ、力尽きましたorz
最後に苺ちゃんからお願いがあるそうです。
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2008.07.17 (Thu)
K&C 番外編 Barbara【後編】
事件が起こったのはそれから二日後だった。
マリアが滞在中であるアレクの城に、意識を失った少女が担ぎ込まれてきたのだ。
執事のハンスから知らせを受けたアレクとマリアはあわてて駆け付けた。
深夜も寝静まった頃である。
領地を見回っていた森番の男が偶然通りかかって、敷地内にぐったりと倒れている少女を発見したのだ。
城内に保護された少女は体が冷え切っていたので、とりあえず毛布で幾重にもくるんで暖房を強くした客室の寝台に寝かせるようハンスが指示を出した。
その一方で、主人に事の次第を伝えることと、主治医に往診の連絡をとった。
自室で休んでいたアレクはハンスからの連絡で、10歳くらいの少女という単語からもしやと思い、マリアにも知らせるように言いつけた。
アレクが思った通り、客室に寝かされていたのは、青白い顔で眠りについていたバルバラの姿であった。
アレクに少し遅れて駆け付けたマリアも、心配げな様子で彼女を見守っている。
深夜にもかかわらず車を飛ばして往診してくれた主治医は、まだ寒い雪道を長時間彷徨ったことでの疲労と体温の低下を心配して治療を施した。
次の日目を覚ましたバルバラは、まだ熱はあったものの、主治医が処置してくれたので幸い大事には至らなかった。
意識を取り戻したバルバラの枕元でマリアはやさしく問いかけた。
「お転婆さん、苦しくないかい?のどが渇いただろう、まってな。いま用意してやるからね」
バルバラは一瞬ばつが悪そうな表情を浮かべて布団を引き寄せたが、マリアが怒ってないと知ると大人しく介抱してくれるのにまかせた。
己のどっちつかずの態度が少女の心を惑わせたのだ。
マリアは自分の馬鹿さ加減を心の底から呪った。
「ホームには連絡しといたから安心してお休み」
「…怒ってないの?どうして私がここに来たか聞かないの?」
熱のためかうるんだ瞳でバルバラは堪りかねたように尋ねた。
「あんたが言いたいなら聞くよ」
マリアの言葉使いはぶっきらぼうだが、慈愛に満ちた瞳はこの上もなくやさしい。
「…劇の後、私を引き取りたいってご夫婦がみえられたの」
「バルバラはその夫婦が嫌いだったのかい?」
「ううん、とっても優しそうなおじいさんとおばあさん。シスターはそのご夫婦が資産家で、ゆくゆくは財産も私のものになるからとってもいいお話ですって」
「じゃあどうして逃げ出したんだい?」
「だって、あんなにおじいさんとおばあさんじゃ、私またすぐに一人になっちゃう。もうおいてかれるのはいやなんだもんっ」
そう言った後、バルバラは頭から布団をかぶって声を殺して泣き出した。
布地を通してバルバラが小刻みに震えているのがわかった。
(この子はこの細い肩に背負いきれないほどの悲しみを抱えている)
そう思ったら今まで躊躇していた自分が恥ずかしい。
自然と一歩を踏み出す勇気が出た。
マリアは震えている布越しごと両のかいなに包み込んだ。
「なんであたしを選んだんだい?」
「……丈夫そうだったから?」
包み込んだ腕が締め付けに変わったのは正直な心の表れだったかもしれない。
バルバラは三歳の頃、母に連れられホームに預けられた。
母は必ず迎えに来るからと言い残して、いまだに彼女を迎えに来ていなかった。
バルバラ・リピンスキー、容姿と名前から彼女がポーランド系であることはわかるが、彼女がオーストリアのホームに預けられた経緯は不明だった。
バルバラは言いようもない不安とともに思い出す。
いまでは顔も思い出せない母だったが、繋いだ手がやけに頼りなく、心もとなかったのを覚えている。
子供心にもこの手を放してはいけないと必死に握りしめていた気がする。
その願いも虚しく、母はバルバラをホームに預けてどこかに行ってしまった。
『すぐに迎えに来るからね』
うそつき。
あんたなんか待たない。
あんたなんかいらない。
私は私のムッターを見つけるんだから。
あんたとは似ても似つかない、やさしくって強いムッターを見つけるんだ。
マリアは体調が回復してホームに戻ったバルバラを、助手のアレクの反対を押し切り、養子縁組の手続きをとった。
その後マリアがフィギュアスケートのコーチ兼振り付け師として世界で活躍していることを知ったバルバラは、当然のようにマリアにくっついて各地を回ったが、アメリカを訪れた際、バルバラの義理の姉にあたるヨウコとこの時初めて出会ったのだった。
その直後バルバラは爆弾発言をした。
「私フィギュアの選手にはならないわ。スケートは趣味で楽しみたいだけ。将来は女優になりたいの。…マリアはスケートをしない私はいらないの?」
何を思ってバルバラがそう言ったのか。言わせてしまったのか。
マリアはバルバラを追い詰めてしまった責任を感じた。
ヨウコとの出会いで感じた不安を取り除いてやりたかった。
だからマリアは選手たちの指導で各地を回る生活に終止符を打つことを決めたのだった。
もしこのままバルバラが本格的にスケートを続けてたら、世間に第二のヨウコと呼ばれることは確実だった。
自己主張の強いバルバラが耐えられるはずもない。
そして何よりもバルバラは母が欲しかった。
だから好きだったはずのフィギュアもあきらめて、100%母親としてのマリアを手に入れる道を選んだのだ。
後日マリアは、自分はあの時バルバラに母としての資格を試されたのだと、助手のアレクに苦笑してみせた。
「ムッター」
上目使いでマリアを見上げるバルバラ。
バルバラは甘えたい時だけマリアをお母さんと呼ぶ。
ザルツブルグの自宅。
さっきまでふくれっ面をしてたのに、すぐに忘れて甘えてくるのもこの子の可愛いところだ。
マリアは親の欲目でそう思った。
「あの子またウチに来る?」
「ああ、たぶんね」
マリアは笑って答えた。
うちのお姫様は恋をしているらしい。
(まあ、その相手が八つも年上だってことは、まだ言わない方がいいだろうね…)
「日本語って覚えるの難しいの?」
「さあ、どうだろうね」
「ショータ・タカモ…だっけ?う〜ん、ちょっと違う気がするんだけど…」
「そんなに興味があるんだったら、習ってみるかい?」
「ほんとっ?ムッター大好き〜!!ぜったいよ」
バルバラの満ち足りた無邪気な笑顔をみて、マリアは取り越し苦労をやめることにした。
あたしが手塩にかけてかわいがってんだから、これで不幸せだなんて言ったら、お尻をぶってやるさ!
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続きを読むであとがきです。
マリアが滞在中であるアレクの城に、意識を失った少女が担ぎ込まれてきたのだ。
執事のハンスから知らせを受けたアレクとマリアはあわてて駆け付けた。
深夜も寝静まった頃である。
領地を見回っていた森番の男が偶然通りかかって、敷地内にぐったりと倒れている少女を発見したのだ。
城内に保護された少女は体が冷え切っていたので、とりあえず毛布で幾重にもくるんで暖房を強くした客室の寝台に寝かせるようハンスが指示を出した。
その一方で、主人に事の次第を伝えることと、主治医に往診の連絡をとった。
自室で休んでいたアレクはハンスからの連絡で、10歳くらいの少女という単語からもしやと思い、マリアにも知らせるように言いつけた。
アレクが思った通り、客室に寝かされていたのは、青白い顔で眠りについていたバルバラの姿であった。
アレクに少し遅れて駆け付けたマリアも、心配げな様子で彼女を見守っている。
深夜にもかかわらず車を飛ばして往診してくれた主治医は、まだ寒い雪道を長時間彷徨ったことでの疲労と体温の低下を心配して治療を施した。
次の日目を覚ましたバルバラは、まだ熱はあったものの、主治医が処置してくれたので幸い大事には至らなかった。
意識を取り戻したバルバラの枕元でマリアはやさしく問いかけた。
「お転婆さん、苦しくないかい?のどが渇いただろう、まってな。いま用意してやるからね」
バルバラは一瞬ばつが悪そうな表情を浮かべて布団を引き寄せたが、マリアが怒ってないと知ると大人しく介抱してくれるのにまかせた。
己のどっちつかずの態度が少女の心を惑わせたのだ。
マリアは自分の馬鹿さ加減を心の底から呪った。
「ホームには連絡しといたから安心してお休み」
「…怒ってないの?どうして私がここに来たか聞かないの?」
熱のためかうるんだ瞳でバルバラは堪りかねたように尋ねた。
「あんたが言いたいなら聞くよ」
マリアの言葉使いはぶっきらぼうだが、慈愛に満ちた瞳はこの上もなくやさしい。
「…劇の後、私を引き取りたいってご夫婦がみえられたの」
「バルバラはその夫婦が嫌いだったのかい?」
「ううん、とっても優しそうなおじいさんとおばあさん。シスターはそのご夫婦が資産家で、ゆくゆくは財産も私のものになるからとってもいいお話ですって」
「じゃあどうして逃げ出したんだい?」
「だって、あんなにおじいさんとおばあさんじゃ、私またすぐに一人になっちゃう。もうおいてかれるのはいやなんだもんっ」
そう言った後、バルバラは頭から布団をかぶって声を殺して泣き出した。
布地を通してバルバラが小刻みに震えているのがわかった。
(この子はこの細い肩に背負いきれないほどの悲しみを抱えている)
そう思ったら今まで躊躇していた自分が恥ずかしい。
自然と一歩を踏み出す勇気が出た。
マリアは震えている布越しごと両のかいなに包み込んだ。
「なんであたしを選んだんだい?」
「……丈夫そうだったから?」
包み込んだ腕が締め付けに変わったのは正直な心の表れだったかもしれない。
バルバラは三歳の頃、母に連れられホームに預けられた。
母は必ず迎えに来るからと言い残して、いまだに彼女を迎えに来ていなかった。
バルバラ・リピンスキー、容姿と名前から彼女がポーランド系であることはわかるが、彼女がオーストリアのホームに預けられた経緯は不明だった。
バルバラは言いようもない不安とともに思い出す。
いまでは顔も思い出せない母だったが、繋いだ手がやけに頼りなく、心もとなかったのを覚えている。
子供心にもこの手を放してはいけないと必死に握りしめていた気がする。
その願いも虚しく、母はバルバラをホームに預けてどこかに行ってしまった。
『すぐに迎えに来るからね』
うそつき。
あんたなんか待たない。
あんたなんかいらない。
私は私のムッターを見つけるんだから。
あんたとは似ても似つかない、やさしくって強いムッターを見つけるんだ。
マリアは体調が回復してホームに戻ったバルバラを、助手のアレクの反対を押し切り、養子縁組の手続きをとった。
その後マリアがフィギュアスケートのコーチ兼振り付け師として世界で活躍していることを知ったバルバラは、当然のようにマリアにくっついて各地を回ったが、アメリカを訪れた際、バルバラの義理の姉にあたるヨウコとこの時初めて出会ったのだった。
その直後バルバラは爆弾発言をした。
「私フィギュアの選手にはならないわ。スケートは趣味で楽しみたいだけ。将来は女優になりたいの。…マリアはスケートをしない私はいらないの?」
何を思ってバルバラがそう言ったのか。言わせてしまったのか。
マリアはバルバラを追い詰めてしまった責任を感じた。
ヨウコとの出会いで感じた不安を取り除いてやりたかった。
だからマリアは選手たちの指導で各地を回る生活に終止符を打つことを決めたのだった。
もしこのままバルバラが本格的にスケートを続けてたら、世間に第二のヨウコと呼ばれることは確実だった。
自己主張の強いバルバラが耐えられるはずもない。
そして何よりもバルバラは母が欲しかった。
だから好きだったはずのフィギュアもあきらめて、100%母親としてのマリアを手に入れる道を選んだのだ。
後日マリアは、自分はあの時バルバラに母としての資格を試されたのだと、助手のアレクに苦笑してみせた。
「ムッター」
上目使いでマリアを見上げるバルバラ。
バルバラは甘えたい時だけマリアをお母さんと呼ぶ。
ザルツブルグの自宅。
さっきまでふくれっ面をしてたのに、すぐに忘れて甘えてくるのもこの子の可愛いところだ。
マリアは親の欲目でそう思った。
「あの子またウチに来る?」
「ああ、たぶんね」
マリアは笑って答えた。
うちのお姫様は恋をしているらしい。
(まあ、その相手が八つも年上だってことは、まだ言わない方がいいだろうね…)
「日本語って覚えるの難しいの?」
「さあ、どうだろうね」
「ショータ・タカモ…だっけ?う〜ん、ちょっと違う気がするんだけど…」
「そんなに興味があるんだったら、習ってみるかい?」
「ほんとっ?ムッター大好き〜!!ぜったいよ」
バルバラの満ち足りた無邪気な笑顔をみて、マリアは取り越し苦労をやめることにした。
あたしが手塩にかけてかわいがってんだから、これで不幸せだなんて言ったら、お尻をぶってやるさ!
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2008.07.16 (Wed)
K&C 番外編 Barbara【前編】
動物の赤ちゃんがお母さんの背中に必死にすがりつくのは、そうしなければ自然界の中では生き残れないということを、本能でわかっているからだ。
バルバラは母が欲しかった。
得てして残酷な神は気まぐれに恩寵を施す。
母性のかたまりのようなマリアに出会ってしまったのは、まさしく天の配剤であるといえよう。
自分の才能を餌にして、稚拙な策を弄して、泣いてすがって懇願して、なりふりかまわず全身で彼女はマリアを手に入れたのだ。
「ねえマリア、どうしてあの子インスブルックにやっちゃったの?ウチにいればよかったのに…」
ザルツブルグ郊外にある自宅。
バルバラはお気に入りの肘掛椅子に膝立ちして、窓の張り出し部分に陣取り、外の様子を眺めていた。
マリアが室内に入ってくると、頬杖ついたままつまらなそうに質問したのだった。
「あら、おませさん」
「ちがうわよ!そんなんじゃないってば!マリアったら、ぜんぜんわかってないんだからっ」
マリアのからかいに、バルバラはあわてて振り返って否定したが、マリアの面白がってる様子に途端にふくれっ面になってそっぽを向いてしまった。
可愛らしい我が家のプリンセス。
マリアはバルバラと暮らす現在の生活に十分満足している。この上もなく幸せであった。
だが、バルバラはどうだろうか。
彼女はマリアと暮らして幸せなのだろうか?
バルバラの保護者となった以上は彼女の大嫌いな小言を食らわせることもしばしばだった。
マリアは自分がかなり口うるさい部類の母親であることを自覚している。
ヨウコの保護者だった頃は対象がいい子過ぎて、いまいち判断材料にはならない。
もっともそれゆえに、ヨウコとは選手時代、本当の親子関係を築けていなかったとも言えるのだが。
ヨウコと違いバルバラは最初の出会いからしてマリアを翻弄させた。
イン川沿いの屋外スケートリンク。
マリアが目を留めたのはリンク上を自由自在に滑走する10歳位の少女であった。
思わず声をかけたのは、彼女の楽しげな様子に魅了されたせいで、第二のヨウコを発掘する気などさらさらなかった。
久しぶりにとった休暇は助手のアレクの父親の命日祭に、同行している彼とともに出席するためであった。
長旅の疲れでかなりまいっていたマリアだったが、視線の先にみえるスケートリンクについつい目がいってしまうのは、一種の職業病とも言える悲しいさがだろう。
助手のアレクは名前を聞いたら知らぬものはいないほどの名家の家柄で、一年前に彼の父が亡くなってからは彼以外に後継者はいない。
本当ならばマリアの助手など務めている場合ではなかろうに、現在のところ家のことは執事のハンスに任せっきりにしている。
「あんた、あの子をどう思う?」
「…普通に上手いとは思いますが、競技レベルには達しておりません」
マリアの厄介な性格を思い出していやな予感がしたアレクは、予防線を張ることを忘れなかった。
可愛くない弟子の無愛想なセリフにマリアは肩をすくめると、彼を置き去りにして少女のそばに行き、彼女に声をかけたのだった。
「あなた、お名前は?」
「…バルバラ。おばさん、だ〜れ?」
息を切らせてリンク越しにやってきたバルバラは、マリアのそばで軽くターンすると小首をかしげてそう問い返した。
ボア付きのフードの中から覗く、白い肌に上気した薔薇色の頬。
実際にそばでよく見ると、バルバラは整った顔立ちのとても美しい少女だった。
何よりも表情豊かな菫色の瞳が魅力的だった。
「あたしはマリアって言うの。あなたスケートがとってもお上手だね!どこの教室で習ってるんだい?」
バルバラは一瞬きょとんとした後、誇らしそうに胸を張って答えた。
「教室になんか通ってないわ。この子達と一緒に遊んでるだけよ」
一緒に遊んでいた子供達が、物珍しそうに無邪気にマリアの周りに集まって来た。
アレクもいつの間にか傍らに居て、しょうがないとばかりに仏頂面で突っ立っている。
話を重ねるうちにバルバラを含めた子供達が、この近くにあるホームで暮らしている孤児達だということが判明した。
「明日はホームの発表会があるの。私の役は白雪姫よ」
それからちょっと意地悪そうな顔をして、バルバラは付け加えた。
「王妃の最後は白雪姫の結婚披露宴で、熱した鉄の靴を履かされて死ぬまで踊らされるんだけど、それだとお客様が不快な思いをされるんですって。だからディズニーバージョンに変更したの。…発表会ってね、ほんとは私達の品評会なのよ。お客さんがどの子が欲しいか決めるのに都合がいいでしょ?でもね、ときどき思うんだ、私は牛じゃないわって!だから他の子たちと共謀して演目に白雪姫を推薦しちゃった。意地悪な継母が最後に苦しんで死んじゃうなんて、養父母になりたがってるお客さん達にとっては痛切な皮肉でしょ?だけど、脚本変えられちゃってちょっとがっかり〜」
「バルバラは引き取られたくないんだね」
「う〜ん…ムッターは欲しいわ。でもね、向こうから選ばれるんじゃなくて、私が私のムッターを選びたいの」
バルバラは少し考え込んでから、強い意志を感じさせる口調で決然と言い放った。
そしてまっすぐにマリアを見上げると、高飛車な態度で挑んできた。
「ねえ、マリア。発表会にあなたを招待してあげてもいいわよ」
内心マリアはこれには参った。10歳足らずの少女が己の持てる限りの権謀術数をふるっているのだから。
発表会に招待するということが、どういう意味を含んでいるのか、わからないマリアではなかった。
バルバラは自分の母親は自分で選びたいと言った。
その舌の根も乾かぬうちに、マリアをバルバラが言うところの品評会に招いてやると言うのだ。
ついさっき会ったばかりの初対面のマリアのどこを見て、バルバラはマリアを自分の母親に相応しいと思ったのか。
マリアが彼女には珍しく口ごもっていると、様子を窺っていた助手のアレクが口を差し挟んできた。
「マリア、そろそろ出発しないと…」
腕時計を覗き込んで時間がない振りを繕うアレクに、バルバラは敵意むき出しの一瞥をアレクに向けた後、彼の存在など完璧に無視してマリアに縋り付いた。
自分をよく思ってない人間を本能的に見分けて、こいつは敵だと判断したのだ。
(なんて気性の激しい子だろうね)
バルバラの挙動に舌を巻く一方で、マリアは徐々にいつもの冷静さを取り戻してきた。
マリアのコートの裾を掴んでいたバルバラの手を優しく包み込むと、自身はしゃがみこんで少女の視線の高さに自分の目を合わせて慈愛に満ちた口調で伝えたのだった。
「申し訳ないけどお嬢さん、あなたの気持ちはすごくうれしいよ。だけどあたし達はこれから大事なご用があるから、残念だけど発表会にはいけないよ」
あくまでも表向きであるところの発表会への出席の断りとして通したのは、そうする方がまだバルバラに恥をかかせないであろうと思ったからである。
バルバラはマリアの言葉に目に見えて落胆した。美しい菫色の瞳がいまは光を失っている。
内心ほっとしたのは助手のアレクだった。
「あたしは丘の上のローゼンブルクに一週間ほど滞在してるけど、その後はザルツブルグの自宅に帰って二、三日休養してから仕事だ。何か困ったことがあれば連絡しておくれ」
仕事用に作った名刺を渡したのは、無慈悲なアレクへの面当て半分。残りの半分はやはりこの少女が気になったからだ。
名刺など渡すべきではなかったかもしれない。バルバラは期待するだろう。だが、マリアもこれで終わりにしたくなかったのだ。
マリア達が去るのを、バルバラは唇をかみしめてずっと眺めていた。
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バルバラは母が欲しかった。
得てして残酷な神は気まぐれに恩寵を施す。
母性のかたまりのようなマリアに出会ってしまったのは、まさしく天の配剤であるといえよう。
自分の才能を餌にして、稚拙な策を弄して、泣いてすがって懇願して、なりふりかまわず全身で彼女はマリアを手に入れたのだ。
「ねえマリア、どうしてあの子インスブルックにやっちゃったの?ウチにいればよかったのに…」
ザルツブルグ郊外にある自宅。
バルバラはお気に入りの肘掛椅子に膝立ちして、窓の張り出し部分に陣取り、外の様子を眺めていた。
マリアが室内に入ってくると、頬杖ついたままつまらなそうに質問したのだった。
「あら、おませさん」
「ちがうわよ!そんなんじゃないってば!マリアったら、ぜんぜんわかってないんだからっ」
マリアのからかいに、バルバラはあわてて振り返って否定したが、マリアの面白がってる様子に途端にふくれっ面になってそっぽを向いてしまった。
可愛らしい我が家のプリンセス。
マリアはバルバラと暮らす現在の生活に十分満足している。この上もなく幸せであった。
だが、バルバラはどうだろうか。
彼女はマリアと暮らして幸せなのだろうか?
バルバラの保護者となった以上は彼女の大嫌いな小言を食らわせることもしばしばだった。
マリアは自分がかなり口うるさい部類の母親であることを自覚している。
ヨウコの保護者だった頃は対象がいい子過ぎて、いまいち判断材料にはならない。
もっともそれゆえに、ヨウコとは選手時代、本当の親子関係を築けていなかったとも言えるのだが。
ヨウコと違いバルバラは最初の出会いからしてマリアを翻弄させた。
イン川沿いの屋外スケートリンク。
マリアが目を留めたのはリンク上を自由自在に滑走する10歳位の少女であった。
思わず声をかけたのは、彼女の楽しげな様子に魅了されたせいで、第二のヨウコを発掘する気などさらさらなかった。
久しぶりにとった休暇は助手のアレクの父親の命日祭に、同行している彼とともに出席するためであった。
長旅の疲れでかなりまいっていたマリアだったが、視線の先にみえるスケートリンクについつい目がいってしまうのは、一種の職業病とも言える悲しいさがだろう。
助手のアレクは名前を聞いたら知らぬものはいないほどの名家の家柄で、一年前に彼の父が亡くなってからは彼以外に後継者はいない。
本当ならばマリアの助手など務めている場合ではなかろうに、現在のところ家のことは執事のハンスに任せっきりにしている。
「あんた、あの子をどう思う?」
「…普通に上手いとは思いますが、競技レベルには達しておりません」
マリアの厄介な性格を思い出していやな予感がしたアレクは、予防線を張ることを忘れなかった。
可愛くない弟子の無愛想なセリフにマリアは肩をすくめると、彼を置き去りにして少女のそばに行き、彼女に声をかけたのだった。
「あなた、お名前は?」
「…バルバラ。おばさん、だ〜れ?」
息を切らせてリンク越しにやってきたバルバラは、マリアのそばで軽くターンすると小首をかしげてそう問い返した。
ボア付きのフードの中から覗く、白い肌に上気した薔薇色の頬。
実際にそばでよく見ると、バルバラは整った顔立ちのとても美しい少女だった。
何よりも表情豊かな菫色の瞳が魅力的だった。
「あたしはマリアって言うの。あなたスケートがとってもお上手だね!どこの教室で習ってるんだい?」
バルバラは一瞬きょとんとした後、誇らしそうに胸を張って答えた。
「教室になんか通ってないわ。この子達と一緒に遊んでるだけよ」
一緒に遊んでいた子供達が、物珍しそうに無邪気にマリアの周りに集まって来た。
アレクもいつの間にか傍らに居て、しょうがないとばかりに仏頂面で突っ立っている。
話を重ねるうちにバルバラを含めた子供達が、この近くにあるホームで暮らしている孤児達だということが判明した。
「明日はホームの発表会があるの。私の役は白雪姫よ」
それからちょっと意地悪そうな顔をして、バルバラは付け加えた。
「王妃の最後は白雪姫の結婚披露宴で、熱した鉄の靴を履かされて死ぬまで踊らされるんだけど、それだとお客様が不快な思いをされるんですって。だからディズニーバージョンに変更したの。…発表会ってね、ほんとは私達の品評会なのよ。お客さんがどの子が欲しいか決めるのに都合がいいでしょ?でもね、ときどき思うんだ、私は牛じゃないわって!だから他の子たちと共謀して演目に白雪姫を推薦しちゃった。意地悪な継母が最後に苦しんで死んじゃうなんて、養父母になりたがってるお客さん達にとっては痛切な皮肉でしょ?だけど、脚本変えられちゃってちょっとがっかり〜」
「バルバラは引き取られたくないんだね」
「う〜ん…ムッターは欲しいわ。でもね、向こうから選ばれるんじゃなくて、私が私のムッターを選びたいの」
バルバラは少し考え込んでから、強い意志を感じさせる口調で決然と言い放った。
そしてまっすぐにマリアを見上げると、高飛車な態度で挑んできた。
「ねえ、マリア。発表会にあなたを招待してあげてもいいわよ」
内心マリアはこれには参った。10歳足らずの少女が己の持てる限りの権謀術数をふるっているのだから。
発表会に招待するということが、どういう意味を含んでいるのか、わからないマリアではなかった。
バルバラは自分の母親は自分で選びたいと言った。
その舌の根も乾かぬうちに、マリアをバルバラが言うところの品評会に招いてやると言うのだ。
ついさっき会ったばかりの初対面のマリアのどこを見て、バルバラはマリアを自分の母親に相応しいと思ったのか。
マリアが彼女には珍しく口ごもっていると、様子を窺っていた助手のアレクが口を差し挟んできた。
「マリア、そろそろ出発しないと…」
腕時計を覗き込んで時間がない振りを繕うアレクに、バルバラは敵意むき出しの一瞥をアレクに向けた後、彼の存在など完璧に無視してマリアに縋り付いた。
自分をよく思ってない人間を本能的に見分けて、こいつは敵だと判断したのだ。
(なんて気性の激しい子だろうね)
バルバラの挙動に舌を巻く一方で、マリアは徐々にいつもの冷静さを取り戻してきた。
マリアのコートの裾を掴んでいたバルバラの手を優しく包み込むと、自身はしゃがみこんで少女の視線の高さに自分の目を合わせて慈愛に満ちた口調で伝えたのだった。
「申し訳ないけどお嬢さん、あなたの気持ちはすごくうれしいよ。だけどあたし達はこれから大事なご用があるから、残念だけど発表会にはいけないよ」
あくまでも表向きであるところの発表会への出席の断りとして通したのは、そうする方がまだバルバラに恥をかかせないであろうと思ったからである。
バルバラはマリアの言葉に目に見えて落胆した。美しい菫色の瞳がいまは光を失っている。
内心ほっとしたのは助手のアレクだった。
「あたしは丘の上のローゼンブルクに一週間ほど滞在してるけど、その後はザルツブルグの自宅に帰って二、三日休養してから仕事だ。何か困ったことがあれば連絡しておくれ」
仕事用に作った名刺を渡したのは、無慈悲なアレクへの面当て半分。残りの半分はやはりこの少女が気になったからだ。
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2008.07.14 (Mon)
よその子4
久しぶりによその子描きました。
参加コミュのオリ愛企画です。
【ブログ名】月光に踊る姫君
【原作者】光桜 煌さま
【キャラ名】お華夜の方さん
ちょっと病んでるみたいで、可愛らしいものは描けなかったのです^^;
悪女、魔性の女ってことで思い浮かんだのが、るろうに剣心に出てくる悪役のシシオマコト(漢字わかりません)の愛人らしき人でした。
で、さきほど原作者様のお宅へお邪魔したのですが、この漫画がお好きだったらしいですね。
はは、私の嗅覚も捨てたものじゃないと思いました。
線が汚かったり塗り忘れ箇所があったり、大変申し訳ございません。
でもとても楽しく描かせて頂きました。
光桜 煌さま、素敵なキャラをどうもありがとうございました^^
それにしても私は絵柄が安定しませんね^^;
でもこの絵はかなり地が出てると思うんですよ。

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記念絵がけっこう受けてくれたようで…みなさん懐が深いですね。
画力で唸らすことができないので、キワモノに走ったわけですが…う〜ん、くせになりそう…
次回の更新はたぶん小説になると思いますので要注意^^
病んでるのはジツはこのせいだったりするんですけどね。
いいかげんお絵描きブログと小説ブログを分けろと言われそうですが、やってる人間は一人だから、いろんなものがごちゃまぜになった、これがアタシのブログなのですよ。
いや、エラそうなこと言ってスミマセン…ほんとはめんどくさいだけなんです。
参加コミュのオリ愛企画です。
【ブログ名】月光に踊る姫君
【原作者】光桜 煌さま
【キャラ名】お華夜の方さん
ちょっと病んでるみたいで、可愛らしいものは描けなかったのです^^;
悪女、魔性の女ってことで思い浮かんだのが、るろうに剣心に出てくる悪役のシシオマコト(漢字わかりません)の愛人らしき人でした。
で、さきほど原作者様のお宅へお邪魔したのですが、この漫画がお好きだったらしいですね。
はは、私の嗅覚も捨てたものじゃないと思いました。
線が汚かったり塗り忘れ箇所があったり、大変申し訳ございません。
でもとても楽しく描かせて頂きました。
光桜 煌さま、素敵なキャラをどうもありがとうございました^^
それにしても私は絵柄が安定しませんね^^;
でもこの絵はかなり地が出てると思うんですよ。

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記念絵がけっこう受けてくれたようで…みなさん懐が深いですね。
画力で唸らすことができないので、キワモノに走ったわけですが…う〜ん、くせになりそう…
次回の更新はたぶん小説になると思いますので要注意^^
病んでるのはジツはこのせいだったりするんですけどね。
いいかげんお絵描きブログと小説ブログを分けろと言われそうですが、やってる人間は一人だから、いろんなものがごちゃまぜになった、これがアタシのブログなのですよ。
いや、エラそうなこと言ってスミマセン…ほんとはめんどくさいだけなんです。
2008.07.09 (Wed)
祝4000Hit
次の巻でBECKが最終巻となります。
その後の彼らの番外編、一巻ぐらい出ないかな…
未読の方は大人買いしてください、たぶん至福の時が得られます。
いつの間にか4000ヒット達成です。
みなさん本当にどうもありがとうございました!!!
記念絵あわてて描きましたが、ふざけ過ぎですね。
ええ、momokazuraは病んでます。
日頃の感謝を込めた恒例の記念絵プレゼントは…まあ、欲しい方だけご自由にどうぞ^^;
いったい誰が欲しがるってんだ?ちょっとフェイドアウトしたい気分です。

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「はじめにお読みください」にも拍手を頂き、ありがとうございます♪
3000の時も早いなって思ってたのに、4000越えはもっと早く感じました。
これもすべて応援して下さった皆さんのおかげでございます。
更新してなくて何度か無駄手間をとらせてしまった方々、本当に申し訳ございません。
取れる時間の中でがんばってはいるのですが、なにぶん牛の歩みでございます^^;
こんなヘタレなブログですが、これからもよろしくお願い致します<(_ _)>
その後の彼らの番外編、一巻ぐらい出ないかな…
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記念絵あわてて描きましたが、ふざけ過ぎですね。
ええ、momokazuraは病んでます。
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いったい誰が欲しがるってんだ?ちょっとフェイドアウトしたい気分です。

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これもすべて応援して下さった皆さんのおかげでございます。
更新してなくて何度か無駄手間をとらせてしまった方々、本当に申し訳ございません。
取れる時間の中でがんばってはいるのですが、なにぶん牛の歩みでございます^^;
こんなヘタレなブログですが、これからもよろしくお願い致します<(_ _)>
2008.07.05 (Sat)
わんッ
蒸し暑くてだるい…
夜になってもまだ亜熱帯です^^;
東京住んでた頃はこのくらいの暑さは、エアコンが標準装備だったので、なんてことなかったんです。
それどころか職場とか、どこ行っても冷房ききすぎて寒いくらいに感じてました。
でもウチにはエアコンがない。
そして私の部屋の窓枠はばかになってて、一度窓を開けると閉めるのが難しい…
母にエアコンの必要性を訴えても、すぐ寒くなるからと言って取り合ってくれません。
ええ、そうでしょうとも。
皮肉なことに実家に戻ってから、寒暖の差をめいっぱい実感できました。
これが自然本来の生き方なのかしら…と思いつつも、やっぱ暑いわ^^;
さて本日の一枚です。
なんかもおね、自分の画力の無さにうんざり…
てのが本音ですが、できるだけがんばりましたw

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コメント&ランキングポチ、いつもありがとうございますww
暑くて食欲ありません、これが夏バテってやつですかぁ
みなさんもお気をつけて。
またまたうれしいことがありましたww
とくれば、だいたいお気づきだとは思いますが、その通りです笑
紅 徹司さまの画宿屋のリンクが増えました ワ━ヽ(*´Д`*)ノ━ィ!!!!
瞳力のある、元気で可愛い女の子のイラストが印象的な、大好きな素敵ブログさまですww
踊り出すような軽快な文章でローカルライフを垣間見せてくれたりと、いつも楽しませて頂いてます♪
夜になってもまだ亜熱帯です^^;
東京住んでた頃はこのくらいの暑さは、エアコンが標準装備だったので、なんてことなかったんです。
それどころか職場とか、どこ行っても冷房ききすぎて寒いくらいに感じてました。
でもウチにはエアコンがない。
そして私の部屋の窓枠はばかになってて、一度窓を開けると閉めるのが難しい…
母にエアコンの必要性を訴えても、すぐ寒くなるからと言って取り合ってくれません。
ええ、そうでしょうとも。
皮肉なことに実家に戻ってから、寒暖の差をめいっぱい実感できました。
これが自然本来の生き方なのかしら…と思いつつも、やっぱ暑いわ^^;
さて本日の一枚です。
なんかもおね、自分の画力の無さにうんざり…
てのが本音ですが、できるだけがんばりましたw

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みなさんもお気をつけて。
またまたうれしいことがありましたww
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紅 徹司さまの画宿屋のリンクが増えました ワ━ヽ(*´Д`*)ノ━ィ!!!!
瞳力のある、元気で可愛い女の子のイラストが印象的な、大好きな素敵ブログさまですww
踊り出すような軽快な文章でローカルライフを垣間見せてくれたりと、いつも楽しませて頂いてます♪
2008.07.01 (Tue)
薄幸
昨日は素敵ブログを見ていた至福の時間に、突如邪魔モノが割り込んできました笑
邪魔モノの名はアップデート。逃れるすべはありません。
コンピュータに弱い人間なもので、真剣に説明を読んでるうちに、目がおかしくなって頭痛がし始め、更新が終わった頃には吐き気を催してきました…こうなるともうだめで、痛み止め飲んで、しばらく寝てるしかありません。
少し寝て起きたら、だいぶん回復したのですが^^
つか、手動アップデートにダメージ与えられるとはね…
さて、本日の一枚は…えへへ、スミマセン手抜きです^^:
人妻風…いや、薄幸な香りがするので、未亡人てとこでしょうか。
主線からして、いまにもくずおれそうですね^^

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コメント&拍手&ランキングポチ、いつもありがとうございます!!
わわっ、たくさんの拍手にびっくり!!とってもうれしいです^^
どうもありがとうございましたっww
次回からはコメント欄でコメ返しをすることにしようか、と思ってたりします^^;
というのも、更新が滞りがちで、あまりお待たせしてもと思ったりしたわけです。
私がコメント欄にコメ返しをしなかった理由は以下の通りでした^^
管理者のなりすましが出る可能性。
まあ、よっぽどのことがない限り、ありえないですね。
コメント欄は書き込みづらい。
うん、慣れですね。
コメントが来てると思ったら自分のコメ返しだった。
…
続きを読むでコメ返しです。
邪魔モノの名はアップデート。逃れるすべはありません。
コンピュータに弱い人間なもので、真剣に説明を読んでるうちに、目がおかしくなって頭痛がし始め、更新が終わった頃には吐き気を催してきました…こうなるともうだめで、痛み止め飲んで、しばらく寝てるしかありません。
少し寝て起きたら、だいぶん回復したのですが^^
つか、手動アップデートにダメージ与えられるとはね…
さて、本日の一枚は…えへへ、スミマセン手抜きです^^:
人妻風…いや、薄幸な香りがするので、未亡人てとこでしょうか。
主線からして、いまにもくずおれそうですね^^

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うん、慣れですね。
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